ARCHITECTURE建築

透明性、開放感のある、心地よい静穏な10棟のパヴィリオン――
ゆるやかにつながりながらもプライベートな空間は、現代の喧騒からの
エスケープ、深い寛ぎの時間をもたらします。

「日本の伝統的な建築の原理に基づく、現代の建築をデザインしました。それは自然と建築の調和であり、時空を超越する透明性がテーマです」と語る西沢立衛氏。プロジェクトの発想は、伝統的な日本の旅館を現代の解釈で表現すること。このモダンな建築スタイルの根幹を成しているのは、日本古来の畳の寸法や大工の職人技などの優れた建築方法です。

西沢氏が設計したのは、“ワンボックス型”の建築とは異なり、縁側や回廊、中庭によってゆるやかにつながるパヴィリオンの集合体。それは人と自然の境界を開放するかのような建築デザインです。2階建てのパヴィリオン棟は、現代のウェルネスを象徴するような造りで、焼杉材のファサードは陽光に満ちたインテリアと鮮やかなコントラストを成し、室内は天井から床まで日本のヒノキ材で贅沢に包まれています。窓は四季折々の森林の風景を切り取る美しいフレームとして、各棟のテラスは中庭を見晴らすように設計されています。例えるなら音楽の小休止のような間合いや絵画の余白のように、SSH No.03のコンセプトのひとつは、ゆとりの“間”ともいえるでしょう。樹々を愛でながら縁側を歩いたり、浴場で湯船に浸るひととき、そして茶室で一服を。自然に包まれた建築は、人々を静かな思考の時間へと誘う空間です。

TRADITIONAL
JAPANESE
ARCHITECTURE伝統的な日本の建築

SSH No.03では独特の時間が流れているようです。それは天然の建材や職人技、気候への細やかな配慮、庭を望む廊下でつながる各棟の構造によって、日本の伝統的建築のDNAである光と陰影、空間、機能美を備えているからかもしれません。

西沢氏が今回のプロジェクトで取り組んだのは、畳の寸法に合わせた画期的な建築です。通常のメートル法ではなく畳を敷き詰める綿密な設計を基準に、10棟それぞれに傾斜のある屋根や回廊を調和させることで、一連の建築が端正で独創的なハーモニーを遂げています。

SACRED HINOKI神聖なヒノキ

SSH No.03の重要な建材のひとつが、日本の高級ヒノキ材です。日本では古来、ヒノキは寺院や宮廷など神聖な建築空間に使われてきましたが、何世紀にもわたる耐久性や機能性、その味わい深さ、文化的価値から重用されてきました。
館内にはヒノキ材を豊富に取り入れ、天井から床、湯船や備え付けの棚に至るまで贅沢に使用。その芳香と共に穏やかなリラックス感をもたらしています。

INTERIORS客室・インテリア

洗練を極めた寛ぎの空間によって、光と影、人と自然の境界を感じさせない心地よさに包まれるインテリア。

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